令和5年4月から、帯状疱疹ワクチン「シングリックス(乾燥組み換えワクチン)」開始。

 令和6年1月から、RSウイルスワクチン「アレックスビー(不活化ワクチン)」開始。

 

 いずれも、事前の予約が必要ですので、当院に電話予約をお願いします。

① 帯状疱疹ワクチン

 令和5年4月から、シングリックス(乾燥組み換えワクチン)開始。


帯状疱疹

帯状疱疹は、水痘帯状疱疹ウイルスを原因として発症する全身性の病気です。

小児期に感染したウイルスが、免疫力の低下と共に再活性化し水疱や神経痛を認めます。

80歳までに約3人に1人が帯状疱疹になるとも言われています。


もっと詳しい帯状疱疹の説明は、ここから!

症状

極度のストレスや疲労などで、免疫低下と共に顔面や頭皮、背中、脇、腹、大腿部に痛みや痒みを伴う水疱が出現し、時間経過とともに痂皮化します。


ウイルスは神経に沿って症状を認めるため、帯状の水疱が形成され、50歳以上の約18~20%程度の方は、皮膚の症状が改善した後も痛みが持続することがあります(帯状疱疹後神経疼痛)。


帯状疱疹後神経疼痛は、非常に厄介で長期間疼痛が残ったり、痛みの程度も強いものから弱いものまで様々です。


その他非常に重い症状として、特に顔面に認める場合、帯状疱疹ウイルス性の髄膜炎や脳症を認めることもあり、また目や耳に感染し障害をうけると、目眩や耳鳴り、視力低下や顔面神経麻痺などの後遺症が出る事があります。


帯状疱疹を発症した方の中で、再発する方は6%程度と言われており、女性の再発率がやや高めとなっております。

帯状疱疹予防ワクチン/シングリックス

50歳以上の方が対象となります(過去に帯状疱疹を発症された方も対象となります)。

生ワクチン接種が困難であった、抗がん剤や免疫抑制剤使用中などの免疫不全の方も対象です。


水痘生ワクチンが使用されてきましたが、2020年1月から乾燥組み換えワクチンである、「シングリックス」が発売となり、当院は同ワクチンを使用しております。

従来の生ワクチンよりも高い予防効果と持続効果が得られるようになりました。


従来の生ワクチンの予防効果 : 約50%程度。特に高齢になるほど予防効果が薄れます。

シングリックスの予防効果  : 50歳以上 97.2%、70歳以上 89.8%

帯状疱疹後神経痛予防効果は、88.8%程度との報告です。

 その後9~10年の高い予防効果の継続も認められており、現在も追跡調査されています。

 10年経過での予防効果は70%以上でした。

シングリックス投与スケジュール


2ヶ月間隔で2回、筋肉注射を行います。

→1回目接種から2ヶ月後に2回目の接種を行います。


※ワクチン入荷に時間がかかるため、完全予約制です。

 受診前に、必ず電話で確認をお願いします。


シングリックス 副反応


<局所性>

 注射部位の疼痛・発赤・腫脹 81.5%   

 注射部位疼痛 79.1%


<全身性>

 筋肉痛・疲労・頭痛・悪寒・発熱・胃腸症状 66.1%

 筋肉痛 46.3%

 疲労  45.9%

 発熱  20~25%


※全身性の症状は 1~2日で改善することが多く、局所性の症状は3日程度での改善が多いです


接種価格

自費接種となります。


ワクチン代金、受診・診察料、注射手技料全て含めて

1回 ¥22,500 (2回で ¥45,000) 



② RSウイルスワクチン

RSウイルスとは

RSウイルスは、2歳までにほとんどのこどもが感染するといわれています。
何回も感染を繰り返し、大人になってもRSウイルスに感染します。
はじめてRSウイルスに感染した赤ちゃんは重症化しやすいので、特に注意が必要ですが、大人もRSウイルスに感染を認め、特に高齢者では重症化する可能性があり、
重症で入院される方や死亡者が比較的多い疾患(気管支喘息の年間死亡者約1700人:RSウイルス感染での年間死亡者(推定) 4500人)として以前より問題視されてきました。

RSウイルスは、特に秋から冬に流行しますが、1年を通して感染する可能性があり、日頃から基本的な感染予防を怠らないことが大切です。

詳しいRSウイルスに関する情報は、ここから!!!

大人のRSウイルス感染経路

大人の主な感染経路は、家庭内での感染です。
飛沫感染と接触感染となるため、
RSウイルスに感染したこどもと一緒に暮らす親や、面倒を見る機会のある祖父母は接触の機会が多く、感染しやすくなります。

また、高齢者施設なども感染が広がりやすい傾向にあります。
集団生活の場では感染予防を徹底しにくいので、個人で日頃から予防しておく必要があります。


大人のRSウイルス感染症の症状

ほとんどは軽い風邪症状

大人がRSウイルスに感染した場合、鼻水・くしゃみ・発熱・のどの痛みなどの症状にとどまることが多いため、ただの風邪と思われることも少なくありません。
何度も感染を繰り返しているうちに症状も軽くなり、RSウイルスに感染していることに気づかないままでいることが多いです。

しかし、高齢者や基礎疾患がある方は重症化しやすく注意が必要

上記のような軽い風邪症状と思われることが多い大人のRSウイルス感染症ですが、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルス感染症と同じく、高齢者や基礎疾患のある方は注意が必要なウイルスです。
60歳以上の方、気管支喘息やCOPD(肺気腫)などの呼吸器疾患や心臓疾患、糖尿病、慢性腎臓病を有する方は、免疫機能が低下していると、RSウイルスに感染した時に重症化のリスクが高くなります。
特に心臓疾患と呼吸器疾患を有する方は、入院比率が高いようです。
重症化すると、気管支炎や肺炎を起こし、入院して酸素吸入を受けたり点滴で栄養や水分を補ったりするなどの、全身管理が必要になる場合があり(年間推定:7万人)、そのなかで一定数亡くなる方がいます(年間推定 4500人)

検査方法

ほとんどは軽い風邪症状

検査方法は主に3つありますが、大人の場合下記のような様々な問題があり日常診療で検査を行うことはまずありません。

1歳未満で行われる迅速キットは、大人では保険適応とならず行われません。
PCR検査は抗原検査キットよりも高額で、診断には有用ですが、検査機器が必要で行われません。
ペア血清を使って検査する方法がありますが、初期と回復してきてからの2回摂取して診断する必要があり、診断確定までにはかなりの時間を有します。

そもそも、検査が行われたとしてインフルエンザウイルスや新型コロナウイルス感染のように、効果的な治療法がないため、確定診断を行う必要がなく、通常診療で検査が行われることがほとんどありません。

治療法

上記検査方法で述べたように、RSウイルスそのものに対する抗ウイルス薬が存在しませんので、あくまでも対処療法ということになります。咳がひどい時には咳止め、発熱がある時は解熱薬、低酸素の時は酸素吸入、点滴などで治療を行うことしかできません。

そのため、高齢者や基礎疾患がある方で重症化した場合、入院治療が必要となり、中には亡くなる方がいます。

予防法

今までRSウイルスの予防方法は、手洗い・うがい・手指消毒・マスクの着用などの基本的な感染対策が中心でした。

ワクチン摂取

2024年1月、グラクソ・スミスクラインという会社からRSウイルスに対するワクチンである「アレックスビー」が発売され、医療機関で摂取が可能となりました。
全ての方が接種
対象となるわけではなく、重症化リスクが高い方のみが対象となります。

「アレックスビー」とは

RSウイルス感染症の発症や重症化を抑える目的で開発された、不活化ワクチンです。

接種対象者

①60歳以上
②気管支喘息・COPD(肺気腫)などの肺疾患を有する方
③うっ血性心不全、狭心症・心筋梗塞などの冠動脈疾患を有する方
④糖尿病を有する方
⑤慢性腎臓病を有する方
⑥癌治療で免疫が低下している方や、膠原病で免疫抑制を使用している方、その他免疫疾患がある方

60歳以下でも、上記一つでも有する方は、接種対象者となります(成人以降です)。

「アレックスビー」の効果

ワクチンの予防効果:感染によって咳・痰・呼吸困難などの呼吸器症状の予防効果

①60歳以上の方全体:82.6%の方で呼吸器症状の予防ができた。
②基礎疾患を有する方(60歳以上):94.6%の方で呼吸器症状の予防ができた。
③RSウイルス感染症の発症、重症化、入院に関して、70~80%の予防ができた。

かなりの高い予防効果を示すことができたようです。

投与方法

1回 0.5mlを筋肉内に注射します。

1回接種で、現時点では2~3年は予防効果が保たれると言われています。

副反応

筋肉注射であるため、アレックスビーの副反応は、10%以上のものとして、

注射を打った部分の痛み」が最も多いです。
頭痛・疲労感・筋肉痛・関節痛も多い傾向です。

重大な副作用として、アナフィラキシー(稀)が現れることがあります。
そのため、当院ではワクチン接種後
30分は経過を見させて頂く必要があります。

接種後注意

①接種した日は激しい運動はしないようにしましょう。
②入浴は可能ですが、接種部位は擦らないように気をつけて下さい。

他のワクチンとの関係

不活化ワクチンであるため、新型コロナウイルスワクチン以外のワクチンとは間隔を空けずに接種可能ですが、どちらのワクチンが原因で副反応が起きているか判断がつかなくなるので、1週間程度は感覚を空けることをお勧めします。

新型コロナウイルスワクチンに関しては、2週間以上明けて接種するようになっています。

費用

現在任意接種となっており、接種者本人が負担することになっております(自費)。
また、帯状疱疹ワクチンのように助成金はまだ発生していません

1回 27,000円


費用は高いですが、小さいお子さんと接する期間が多く、60歳以上の方、または重症リスクのある基礎疾患を有する方にお勧めします。